「最新版 論文の教室」軽いノリで論文の書き方を楽しく教えてくれる良書

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放送大学で卒業研究にチャレンジしようと思ったころから、論文の書き方や読み方に関する本を手にしては読んでみている。

論文の教室」もその1つである。

最新版「論文の教室」

ホテルのロビーで出会い、後に購入した

本書との出会いは、秋ごろに宿泊したホテルのロビーだった。ロビーには本がいっぱいあって、その中に「論文の教室」はあったのだ。

気になって手にしてみたら、これがなかなか面白くて、ホテルのロビーで1/3くらいまで読んでしまった。

いい本だったし、買ってみようと思って探してみたら、どうやら何回か改訂されていて、タイトルが微妙に違っていた。

Amazonには「最新版」と付いているのが一番新しいと言われたので、それを購入した。

20年前から改訂を重ねて・・・

どうも本書は20年前くらいに初版が出ているようで、それから何度か改訂があり、タイトルにつく修飾子?がちょっとずつ変化しているようだ。

20年前といえば、私が修士論文を書いていたころかなぁ、その頃にこの本を読んでいたら、もう少しまともな論文を書いたかなぁ、なんて思ったり思わなかったり。

改訂するたびにあとがきが追加されていて、本書はあとがきが3つ続いていた。こんな本ははじめて見たと思う。

軽い口調で論文の書き方を教えてくれる

本書の特徴は、他の「論文の書き方」に関して取り上げられた本の中でも、非常に軽い、というか、ゆるいところにあると思う。

「論文の書き方」をテーマにした本なんて、小難しいものになりがちなイメージだ。

その点に関して、筆者は「はじめに」の中でこう記している。

本書を書くために私は類書を片っ端から買って読んでみた。しかし、最後まで読み通せたものはまったくない。だつてさうでせう。ひどくつまらないんですもの。

とまあ、学者さんから見てもそういうものらしい。そんなわけで、本書では、

読者のみなさんには本書を最後まで読み通してもらいたい。そのために私は、できる限り読みものとして楽しい本になるように心がけた。

とのこと。ある意味、既存の類書に対するアンチテーゼとしてこの本ができたということなのかもしれない。

そのおかげか、私は最後まで比較的スルッと読めた。

読了後の印象としては、軽い口調で論文の書き方をきちんと教えてくれる本だということ。

そして、軽い口調なんだけど、筆者が専門とする哲学者らしく?ちゃんと論理的な説明に基づいて、段階的に論文を書くためのノウハウが示されている。

主人公の作文ヘタ夫くん (この名前もどうよ?)が書いた、最初はイケてなかった作文が、「ここはこれがダメ。論文を書くならこうしたらいい」と解説が入り、内容が書き換えられ、だんだんと論文らしくなっていく様を見ていると、自分も文章力が上がっていく気がする。まあ、別に何も書いてないんだから、本当に気がするだけなんだけど。

本書は論文を論文として成り立たせるための観点を、一つ一つ解説してくれているのだと私は捉えている。

おわりに

「論文の教室」という本をホテルのロビーで見かけて、読んでみたら楽しくて、お家に帰って自腹で買って読んでみた。

私の中でもなかなか珍しい出会い方だった。こういうのも御縁なのだろう。

楽しく読めたし、論文とはどういうものか?どう書くのか?といった、私の当初の疑問に対する答えもあったと思う。

いざ論文を書く段階になるとまた悩むのだろうけど、そのときにはまた本書を読み直してみるといいかもしれない。

「論文の書き方」というテーマを扱っている本としては、非常に貴重な部類の本だと思う。なにせ軽すぎる (良い意味で!)。

小難しい本を最初に読んで挫折するくらいなら、本書を軽い気持ちで一通り読んでみるのをオススメしたい。