ただ知識が多いだけの知識人でなく、知識を元に自分の頭で考えられる人=教養人になろう
書店を散策していたときに、ふと目についた本を読んでみることにした。
「アメリカの大学生が学んでいる本物の教養」という本だった。

枕詞の「アメリカの大学生が~」のくだりはどうでもいいとして、本書で言う「本物の教養」とは何なのか。
帯にある、「知識の消費者から世界に通用する教養人へ」とはどういうことなのか。
そのあたりを意識して読むと、著者の言いたいことが見えてくる感じがした。
よき思考者 (Good Thinker)を目指せ
冒頭には、よき思考者 (Good Thinker)を目指せ、とあった。よき思考者とはどんな者なのか。
それは、良質な思考技術を持っていて、知識を元に考え、人と議論し、合意形成を目指して行動できる人のことを指しているようだ。
知識を元に考えること。そして、人と議論して合意形成を目指すこと。
この2点が強調されていて、本書の中では繰り返しこれらの点を解説していた。
知識人ではなく教養人になる
教養のある人というと、なんとなく知識がある人のことを思い浮かべるかもしれないが、本書では、知識がある人と、教養がある人を明確に区別している。
まず、ただ知識が多い人は知識人だとしている。
これに対し、教養人は、知識を元にして、自ら考え、他人と議論し、合意形成を目指す。そのように知識を使えない人は、知識人なのかもしれないが、教養人ではない、としている。
著者が言うには、日本の大学で歴史を学ぶときは「史実の確認」に重きを置かれるそうだ。
一方、アメリカでは、その史実を出発点として、思考すること、議論することに重きが置かれるとのこと。
イエール大学で教鞭を取っていた著者には、この違いが大きく思えたようだ。
本書のタイトルの枕詞にある「アメリカの大学生が~」のくだりは、このことを端的に表したかったのだろうと思う。
事実確認だけでは、どこまで行っても思考に発展しない。その事実を踏まえて、「自分はどう考えるか」によって意見は生まれる。
知識を元に、自分の頭で考え、意見を持つこと。
知識は、自分で考えるための源泉であり、考えるために知識を得る。教養人にとって、知識を得るのは手段であり、目的ではないのである。
合意形成する力を養う
さて、知識を得て、自分で考えるのはいいが、その考えが独りよがりになってはいけない、とも本書では説いている。
独りよがりな考えには、碌なものがない。下手をすれば犯罪の言い訳にすらなるだろう。私たちは自分の正しさを主張するために、日頃から身近な人と諍いを起こしているわけで。
自分で考えたことを、他人と議論することで、批判的に受け止め、更に考えを磨いていく。この過程も大事だ。
学んだことを、どう社会に活かしていくか。この視点が重要である。
そのためには合意形成する力も必要になってくる。なにせ、社会とは他人との関わりの中で形成されるものなのだから、独りよがりな考えでは受け入れられないのだ。
この合意形成する力も、教養人に必要な力になる。
何を学ぶかではなく、いかに学ぶか
本書では、教養人たるために学び続けることを勧めている。
そして、何を学ぶかよりも、いかに学ぶかが大事と説いている。
ついつい必要に迫られて、すぐタメになることや、すぐ役に立つことを必死こいて学ぶのではなくて。
自分の興味あることを追求する。面白がって学ぶ。この姿勢が大事らしい。
結局のところ、興味があることを学んでいくことが、かえって深い教養につながったりするのだから、好奇心を大事にすることだ。
自らの好奇心を出発点として、プロジェクト型の学習を進めるのがいいそうだ。
自分の理想の世界に向けて学ぶ
教養人であるためには、自分が大切にしたい価値観を明確にしておくことも大事である。
この世界がどうであって欲しいか。なぜそのような世界を望むのか。
その理想の世界を要素分解し、その中で自分には何ができるのか。何をしたいのか。
そうしたことを常に頭の片隅に置いて、学び、考え、行動していくこと。
教養は、未来を見通す力になり、人生を格段に面白いものにしてくれる。将来を自分の意志で選び、自分で掴み取る力になってくれる。
だからこそ学び続けることが大事だし、学んだことを元に考える力を養い、社会に還元していく力が重要なのである。
おわりに
「アメリカの大学生が学んでいる本物の教養」を手に取ったときは、さらっと読んでしまうつもりだったんだけど、読むほどに色々と考えることが出てきて、じっくりと読む本になっていた。
私としては、知識を得ることがゴールではなく、その知識を源泉に、自ら考えることの重要性を説いているところに共感が持てた。ここが本書の肝になっていると思って読み進めた。
しかも、考えたことは、ただ自分の頭の中で完結させてはだめで、それを社会に役立たせるところまでカバーせよというのも大事なことだと思えた。多くの独裁者が平和を維持していないというのは、現代に至ってもそうだと思うし。
あとは、本書の最後に「教養は、将来を自分の意志で選び、自分で掴み取る力になる」といったくだりがあったのには驚いた。当社のミッションが「意志の力で、望む未来を創り出す」であり、非常に似ていると思ったからだ。
そうか、「意志の力で、望む未来を創り出す」には、教養人たれということなのか、と私の中ではつながったのだった。
本書に出会ったおかげで、自社のミッションにより深みを持たせることができた。期せずして、こうやってつながってくるのが面白いと思う。
学び続けるモチベーションを高めてくれる本だった。






