実家に帰省している間に、祖父母の墓参りに行く
実家に帰省している間に、祖父母の墓参りに行ってきた。
祖父母の墓は尾道市にあり、実家のある大三島からだと、しまなみ海道を渡って広島県側に渡っていくことになる。
小学生くらいのころは、祖母に連れられて祖父の墓参りによく来たものだ。
祖母に連れられてというか、祖母が行くのについて行っていた、というのが正しいだろう。
私が生まれ育った島の中ではロクな買い物もできなかったこともあり、尾道という都会に出ることは楽しいことだったのだ。
島の中ではおもちゃや本もあまり買えたものではなかった。テレビゲームを買えるお店なんてほぼなかった。
そんな環境で育ったから、祖母が尾道に行くのについていくことで、ちょっとした買い物ができたし、祖母が何やら買ってくれたりするしで、私にとって「祖母と行く墓参り」というのは美味しいイベントだった。
もちろん、ちゃんと墓参りはしていた。お墓の前で手を合わせるくらいだったけど。祖父は私が生まれたころにはすでに他界していたから、顔も知らなかった。
なお、当時はしまなみ海道なんかなくて、実家の近くにある港から、船に乗って尾道まで来ていたものだ。懐かしい。
そんな祖母もこの3月に亡くなってしまった。
葬儀を済ませて納骨したのがいつごろだったかは知らないが、祖父の墓は、今では祖父母の墓になっていた。
祖母は実家の近くに住んでいたこともあって、小さい頃から色々と世話になっていた。よく遊びに行っていた。
私にとって「おばあちゃん」と言えば、この母方の祖母だった。父方の祖母とはほとんど交流もなかったから。
生まれてからずっと島の中で暮らしてきた祖母だったが、我が家の長女が生まれたころには、叔父や叔母の住む大阪に引っ越してしまい、それ以来、1度も合うことがないまま逝かれてしまった。
息子はかろうじて島にいるうちに抱っこしてもらったけど、他のひ孫は見せてやれなかった。
そんな感じで、晩年は全く会ってなかったが、最後は認知症を患いながらも、特に病気をすることもなく大往生したそうだ。
実家を出てからは墓参りなんて来てないと思うから、20年ぶりくらいにやってきたことになるか。
昔、祖母に連れられて、この迷路のような墓所を歩いた記憶があった。道を覚えていた。案外、忘れていないものだ。
高台にある祖父母の墓の前までやってくると、遠く尾道大橋の方までよく見えた。
このあたりはお墓がたくさんあって、どこも似たような景色をしている気がする。
母親によると、そのうちこのお墓は移動することを考えているらしい。
母親は長女だが嫁いでいることもあり、独身で過ごしている次女と長男が今後の管理をすることになる。彼らは大阪住まいで、墓参りのためだけに尾道まで来るのも大変だろうということで、数年後の何やらのタイミングで大阪に移動するかもしれない、という話をしていた。
この日は暑くなるのが嫌で朝早くから出かけたのだけれど、お墓の掃除をしているとすでに暑くなっていた。
墓参りをしたら、父親が子どもたちにお菓子を買ってやろうとか言い出して、近くのショッピングセンターのようなところに連れて行ってくれた。
子どもたちは目をキラキラとさせながら、お菓子コーナーであーだこーだと騒いでいた。じいちゃんのおごりだということなら、私も止めるつもりはなかった。
もしかしたら、彼らは墓参りをしたことより、こちらに来たことの方をよく覚えているかもしれない。
そうして箱に積むほど買い物をしたら、実家まで帰ったのだった。
ちょうどお盆の時期だったし、母親に「おばあちゃんには世話になったんじゃけん、墓参りくらいしてやりない」とか言われていて、まあそうだなと思っていたから、両親と一緒に、家族みんなで祖父母の墓参りができてよかった。