「駆除人」にハマる 魔物「退治」じゃなくて魔物「駆除」という発想がおもしろい
このところ「駆除人」という本にハマっている。これはライトノベルという分野になるのかな?
この本の面白いというか、斬新なところは、異世界冒険ファンタジーにありがちな設定をうまく使いながら、こういうやつがいたらとんでもないことになるな!という話になっているところだと思う。
王道の冒険ものといえば、冒険しながらスライムなりネズミなりの魔物に遭遇し、倒しながら、ちゃくちゃくとレベルアップをして、強くなっていき、ゆくゆくは魔王なりドラゴンなりを討伐するというストーリーだったりする。
ただ、本作の主人公は害虫/害獣駆除や清掃を行う業者なので、魔物を討伐する規模が桁違いであるところがミソになっている。
魔物に遭遇して倒しながら、というと、1匹1匹倒していくということだが、駆除するということは数百、数千単位で魔物を倒していくということだ。
地下に潜むネズミの魔物を1匹1匹狩るんじゃなくて、薬や罠を使って、一網打尽にしまくるのである。そして一夜にして数百、数千、数万という魔物を倒すのだ。
そして、本作はRPGぽく、経験値やレベルという概念がある。
それはもう、経験値がたまりまくって仕方がないだろう。あっという間に、かつて魔王を倒した勇者のレベルを超えて、おかしなことになる。単なる清掃、駆除業者が、である。
また、本作にはスキルという概念もあるが、主人公はあくまで清掃、駆除業者なので、害虫/害獣駆除に関係あるスキルしかとらない。
レベルが高いと様々なスキルが取れるし、スキルにはレベルがある。スキルによっては、最大レベルにすると史上数人しか到達したことがない境地になるが、主人公はいろんなスキルがほとんどカンストしてるから、これまたおかしな能力を持っている。
その結果、ものすごく効率よく、これまた数千単位で害虫/害獣駆除をしていくことにつながり、レベルのインフレが起こる。
それでもあくまで自分たちは駆除業者だということで、王座についたり、気に入らない国を滅ぼしたり、世界を制覇したりするつもりはなく、行く先々で (旅をしているのだ)、害虫や害獣を駆除している。ちなみに、主人公と一緒に旅をしている連中も、こぞっておかしいレベルになっている。みんな馬より走るの速いし、魔道具を使って空も飛ぶ。
ただし、そんな主人公がやる事業なので、結局、世界に巻き込まれる。
神と邪神に依頼され、勇者を駆除していくというのがメインストーリーになっているし。
ていうか、勇者を駆除しちゃうんだ・・・というところも、冒険ファンタジーものの設定をうまく使っているところだろう。普通、勇者は駆除対象じゃないべ。
Web小説から書籍化したからか、文章はわかりづらいところも多々あるが (誰が喋っているのか分かりづらい、など)、それを差し引いても、この世界観が面白くて、ついつい読み漁っている。ちょうどAmazonが半額セールをやっていたので大人買いした、ということもある。
ここ最近のお気に入りシリーズの1つだ。